リベラルアーツカフェ136

哲学対話で考える「環境」のこと

リベラルアーツカフェVol.136レポート

 はこだて国際科学祭出展企画も3年目となりました。はこだて国際科学祭は「食」「健康」「環境」という3つのテーマを毎年回しており、リベラルアーツカフェでの哲学対話も一巡する形となります。今年も北は北海道から南は中国地方までの各地から、年齢層も現役大学生からシニア世代まで幅広くご参加をいただきました。

 はじめはチェックインということで、参加者の自己紹介&「環境」というワードから気になること、を紹介いただきました。公害・エコロジー・ISO・エシカル・オフグリッド・大学の授業・・・などという言葉が出てきて、これからの対話が楽しみです。哲学対話のルール説明の後、いよいよ対話セッションです。

 口火を切っていただいた話題は、倫理とサイエンス(Fact)との関係について。レジ袋有料化を例に取れば、「有料化はレジ袋が削減されて、環境に良いことだ」という倫理的な論調で語られることが多いが、果たして有料化の効果はどこまで計られていて、公開されているのだろうか? といった疑問でした。提示された参加者はかつて商品開発等に携わられており、そこでは製品の製造から廃棄に至るまでの環境負荷をライフサイクルアセスメントという形で示されていた例を挙げられ、Factの重要性についておっしゃられていました。
 この話から、CO2を発生しないゴミ袋の話、紙ストローの話、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の話など、様々な情報や話が展開されました。総じて、ごみ袋や紙ストローの使用効果や、各種リサイクルの実態について知りたい、といった話となっていきます。

 そこで、私の方から「レジ袋有料化や紙ストロー使用って、本当は嫌じゃないですか?」という問いを投げました。これに対しては、

などの返答が出てきました。比較的若年層の方々は小さい頃から環境に対する教育が為されていることもあってか、割と肯定的に受け入れているなぁと感じました。

 続けて「ゴミの分別をしない・少ない環境で過ごしていると、ゴミに対する意識は低くなるのか?」というお題からは、

といった様々な話や質問などが飛び出してきました。

 後半は一旦、各問題から離れて、「環境問題、どこから手を付ける?どこから考える?」というテーマで話をしました。

など、こちらも様々な観点でした。

 ここで時間も迫り、チェックアウトとして、皆さんに振り返っていただきました。

 環境というテーマは、食や健康よりも取っ付きにくいテーマだったような気がします。対話の途中にも提示しましたが、環境問題は自然だけではなく、時に経済や政治、国際問題とも結び付くぐらい広く、複雑系にもなり得るため、自分事にしにくく、ハードルの高さを感じてしまうのかもしれません。

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

[文責:藤平 昌寿(リベラルアーツとちぎ 代表)]

リベラルアーツカフェVol.136(2024/8/17)開催のお知らせ

ご質問等は info@la-tochigi.net でも受け付けます。


 一昨年・昨年と8月は「はこだて国際科学祭」出展企画として、その年の科学祭テーマについて哲学対話する回を2年間お届けしました。今年も再び「はこだて国際科学祭」に出展いたします。今年の科学祭のテーマ「環境」にちなみ、環境についての哲学対話を開催いたします。

 はこだて国際科学祭のテーマは、「食」「健康」「環境」を3年ごとに回していて、今回で一巡します。過去のテーマでも全国各地から様々な方々が参加され、大変盛り上がりました。

 今回も科学祭の本祭期間中で、例年同様オンラインでの2時間対話となります。哲学対話が初めての方でも経験者の方でも楽しめると思いますので、今回も全国の皆さんと環境について思うこと・感じることなどを対話してみたいです。ぜひご参加ください。

from: 藤平 昌寿(リベラルアーツとちぎ代表)